



|
| 歯周病 細胞増殖因子で組織再生 |
 |
 |
 |
歯に付いた歯垢(しこう)や歯石で細菌が引き起こす歯周病。感染症の一種で、成人した日本人の80%以上がかかっているといわれる。そんな歯周病で傷んだ骨の中に細胞増殖因子を投与して歯周組織をそっくり再生させる治療法を、大阪大大学院歯学研究科の村上伸也教授(口腔分子免疫制御学)らの研究グループが開発、動物実験で効果を確認した。
この細胞増殖因子を使った薬は、科研製薬(東京都文京区)が二〇〇一年六月に発売。現在、褥瘡(じょくそう=床擦れ)や皮膚潰瘍の治療薬として使われている。増殖因子を歯周病治療に使う臨床試験は二〇〇二年一月から、大阪大歯学部付属病院(大阪府吹田市)など全国十六施設、計八十人の歯周病患者を対象に実施されている。同社はさらに安全性を確認し、〇七年中に厚生労働省に治療薬の適用拡大を承認申請したいとしている。
村上教授によると、動物実験ではカニクイザル数匹とイヌ六匹を用いた。イヌでは人工的に歯周病を起こした後、歯茎をめくって手術。歯を支えるあごの骨を削り穴を開けて、FGF2という細胞増殖因子の液剤(濃度〇・一%)を一回投与した。FGF2は骨や血管の元になる間葉系細胞の増殖を促す作用がある。
この際、イヌ間の個体差が生じないよう、同じイヌでFGF2を投与した部位と投与しなかった部位を分けた。
投与後六週間経って調べたところ、FGF2を投与した部位は、六匹とも骨や、歯根表面のセメント質、歯と骨の間にあり、かむ際にセンサーの役割をする歯根膜(じん帯)といった歯周組織がそっくり再生していた。ところが、投与しなかった部位は、六匹とも欠損したところは歯茎に置き換わっただけだった。
その後、カニクイザルを使った実験でも、イヌと同様の結果が得られたという。
歯周病は、歯肉が腫れたり出血したりする歯肉炎と、支える骨が壊れて歯がぐらつく歯周炎に大別される。歯が抜けなくても歯茎がやせて歯根が露出して、知覚過敏などの原因となる。現在の治療は、歯周病の原因となる歯垢(しこう)や歯石を、壊死(えし)したセメント質と共に取り除いたり、歯周病菌を殺す薬を使ったりしている。ところが、失った歯周組織は回復しにくいという難点がある。
(熊本日日新聞2003年4月2日夕刊掲載) |
|
 |
 |
 |
|
|