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加齢黄斑 PDT治療で劇的効果も
数年前まで眼科医でも、ほとんど耳にしなかった加齢黄斑(おうはん)疾患。高齢社会の進展で、この病気が急速に増えている。黄斑は網膜の中心にあって最も大切な部分で、だめになると、周りは見えても、肝心の見たい所が見えなくなる、つらい状態に陥る。
加齢黄斑疾患の自覚症状
変視症
ひずんだり、大きく、あるいは小さく見えたりする
中心暗点
・視力の低下(見ようとする所が見えない)
・コントラストの低下
・色覚の異常
大阪大大学院感覚器外科(眼科学)の田野保雄教授によると、黄斑は物を見分けるために特化された所。加齢に伴って黄斑に障害が起こる加齢黄斑疾患は、高齢者の生活の質(QOL)を非常に低下させる。
「両目をやられると、一人で歩け、生活もできるが、生活の肝心な部分が見えない」。田野教授はそう指摘する。原因は不明だが、加齢のほかに、生活様式の欧米化や、目の使用が長くなったことによる酸化ストレスなどが考えられている。
黄斑疾患は(1)黄斑部の表面に膜ができる「黄斑上膜」(2)中心部分に穴があく「黄斑円孔」(3)むくみができる「黄斑浮腫」(4)黄斑部の下に血管が新生したり、黄斑部が委縮する「黄斑変性」の4タイプがある。
このうち黄斑変性が最もやっかいで、決定的な治療法がない。放置していると、視力がどんどん弱くなる。欧米では成人の失明原因のトップだ。ほかの3つは、手術などで治癒率はかなり高い。
日本では黄斑変性のデータはない。ただ大規模な住民の疫学調査が進んでいる福岡県久山町では、50歳以上で0・67%ある。田野教授は「驚くほど高い数字で、欧米と同じくらい」と話す。
一時はレーザー治療が実施された。しかし効果がほとんどないとして、取りやめられた。唯一、期待されているのが、「光線力学療法」(PDT)と呼ばれる治療法だ。欧米では第一選択になっている。日本では、臨床試験での効果が確認され、厚生労働省に申請中で認可待ちの状態になっている。
PDTは、光感受性色素を静脈に注射する。10分後、この色素が黄斑部の新生血管部分に集まるので、そこをレーザーで照射して破壊する。すぐに効果が表れるが、再発も多い。このため3カ月ごとにチェックし、必要なら治療を繰り返す。
「安全な治療法で、特殊な技術は要らない。眼科医なら誰でもできる。劇的な効果が現れることもあるため、早く認可してほしい」。田野教授は厚労省の認可を心待ちしている。
(熊本日日新聞2002年12月3日付「夕刊メディカル」)
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