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加齢黄斑変性のPDT治療 悪化する視力低下を抑制
 目の網膜の中心部にある黄斑(おうはん)という部分が、高齢化に伴って侵される「加齢黄斑(おうはん)変性」。周りはみえても、肝心の見たい所が見えない、というやっかいな病気だ。

 これまで安全で効果的な治療法がなかったが、厚生労働省が5月にレーザー治療と特殊な薬剤を組み合わせた光線力学療法(PDT)を承認し、臨床現場に普及し始めている。

 患者が急増

 加齢黄斑変性(AMD)は、欧米では生活の質が著しく低下する社会的失明原因のトップ。日本でも食事の欧米化と高齢化社会の進行で、患者が急速に増加しているという。ただ正確な患者数は分からない。

 片目に症状が現れても、老化現象として見過ごされやすく、早期発見が難しい。症状のタイプは、黄斑の組織自体が委縮して変化してしまう「委縮型」と、黄斑部の下に血管が新生し視力を妨げる「滲出(しんしゅつ)型」がある。治療の対象になるのは、ほとんどが滲出型。社会的失明原因の80〜90%を占める。

 黄斑部の下にできた新生血管が網膜の働きを妨げるため、視力の低下、中心部の暗点やゆがみの出現、コントラストの低下などを招く。欧米ではこのタイプは少ないが、日本では大半を占めるという。従来の一般的な治療法は(1)経過観察(2)薬物治療(3)レーザー治療(4)外科的治療の4つだったが、5月から滲出型に有効とされるPDTが加わった。

 熊本大付属病院(熊本市)も7月に導入。眼科の平田憲(あきら)講師ら3人のPDT認定医が治療を手掛けている。対象の患者は50歳代以上で裸眼視力が0・1〜0・5。

 手術は20分ほど

 平田講師によると、治療は、まず光に対する感受性を高める色素ベルテポルフィン(商品名ビスダイン)を静脈に注射する。この色素は新生血管の内皮細胞に集まる性質がある。注射を打ち終わって15分後、レーザーを新生血管部分に83秒間照射する。色素がレーザー光を吸収して内皮細胞を消滅させ、新生血管がつぶれる仕組み。手術は20分ほどで終わる。

 「手術の効果はすぐに表れるが、再発が多く、3カ月ごとにチェックし、必要に応じて手術を繰り返すことになる」と平田講師。片方の目に滲出型の新生血管ができた患者は、その20%〜40%が5年以内にもう一方の目にも新生血管が発生する。また黄斑変性が完治して、視力が元に戻るというわけでもない。

 平田講師は「治療の主目的は、放置すると悪化し続ける視力低下の度合いを抑制することにあると考えてほしい」と強調。国内の臨床試験では、治療の結果、改善30%、不変50%、悪化20%だったという。

 費用も侮れない。熊本大病院の場合、ベルテポルフィンによる日光への過敏化を考えて、手術は2泊か3泊の入院治療にしている。結果、医療費は約35万円。患者の自己負担は3割負担で10万円を超える。

 「今後、PDT療法は普及が進むだろうが、患者の経済的負担も大きい。また治療効果の限界を正確に伝えない安易な手術は、医療費の増大にもつながる」。熊本大病院副院長の谷原秀信医学部教授(眼科)は、そうクギを刺している。

 (熊本日日新聞2004年9月29日付「夕刊メディカル」)

 
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