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緑内障早く発見を 中途失明の原因に 
眼底検査など 健診に改善の必要性
 国内で四十歳以上の二十人に一人が発症し、中途失明原因の第一位となっている緑内障。早期発見で適切に治療すれば、進行を大幅に遅らせて失明を免れられるのに、多くの患者が未発見のまま放置されているという。頼みの綱は自治体や企業の健康診断、人間ドックだが、緑内障発見に必要な検査がきちんと行われていないケースが多く、改善を求める声もある。

「所見なし」

 今思えば、あれは初期症状の表れだった。千葉市の自営業、加藤英男さん(54)は十数年前、得意のテニスで空振りが多くなった。車で大型店の駐車場を出る際、左から来た別の車に気付かず危うくぶつかりそうになったり、前の車の尾灯が突然見えなくなったりしたことも。「疲れだろう」。そう考えていた。

 当時、加藤さんは大手電機メーカーに勤務。職場では、毎年の健診で視力検査を、一年おきの人間ドックで眼底写真の検査(片眼)を受けていた。眼底検査の結果はいつも「所見なし」。ところが四十五歳のころ、会社の産業医が代わった。加藤さんの眼底写真を見た新任の眼科医は、緑内障の疑いを指摘した。

 視野検査を受けると両眼とも視野の一部が欠けており、既に中期の「正常眼圧緑内障」と診断された。「放っておくと失明します」。言葉の重さに「家族をどうやって養うか、仕事をどうするのか、悩みました」と加藤さんは振り返る。

 緑内障は、眼球内部の圧力(眼圧)が上昇し、視神経が損傷を受けて視野が徐々に欠けていく病気だ。眼圧が明らかに高く、視力低下や充血、眼痛などの自覚症状を伴う場合もあるが、問題は加藤さんのような「正常眼圧」と呼ばれるタイプ。

 日本人に多く、緑内障全体の七割を占めるが、眼圧がさほど高くないため眼圧検査だけでは分からない。末期まで視野狭窄(きょうさく)や視力低下の自覚もなく、発見は遅れがち。放置すれば十〜三十年で失明するが、実に八、九割の患者が未受診という。

ばらつきも

 「早期発見による障害の進行阻止や抑制が鍵になる。視野障害が出る前に診断可能な眼底検査を実施すること、さらに眼底写真の判読は難しいため、緑内障の専門医が判定することが重要」と東大病院の相原一講師(眼科学)は指摘する。

 しかし相原さんによると、企業の健診には眼底検査がなかったり、あっても片眼だけで糖尿病など内科疾患の発見を狙いにしていたりと、ばらつきが大きい。人間ドックは眼底検査を基本項目としているが、これも内科疾患を見つけるのが主目的で、緑内障の検査としては位置付けられていない。自治体健診も貧弱だ。患者団体の調査で、回答した百九十九自治体のうち67%が、眼底や眼圧、視野といった緑内障関連の検査を必須項目にしていなかったと回答、改善の必要性が示された。

 加藤さんは毎日二回の点眼薬で眼圧を下げ、病状進行を止めている。テニスは断念したが、視野欠損を自覚し安全第一に運転も続けている。「もっと早く分かっていたらと思うが、たまたま緑内障の知識がある医師に出会ったから失明せずに済んだ。残った視野で楽しく生きたい」と笑った。

(熊本日日新聞2007年10月13日付朝刊)

 
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