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| 視野異常 早期発見で失明回避 増える加齢黄斑変性症 |
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米国で中途失明の最大原因になっている目の病気「加齢黄斑変性症」。日本では患者が少ないとされてきたが、食生活の欧米化や環境変化の影響か、近年発症率が上昇。2004年には緑内障や糖尿病網膜症などに次いで中途失明原因の第4位に浮上した。発症には老化が深く関係するため、高齢化の進展で患者の急増も懸念されている。失明回避には早期の発見と治療が重要だ。
「何となく見づらいな」。昨年春、東京に住む植竹保男さん(68)はテレビを見ていて異変に気付いた。試しに右目だけで画面を見ると、カラーのはずが白黒に見える。画面がいびつに波打ち、人の顔が細長い。視野の中心部は暗く、部分的に欠けてもいた。
7年ほど前、自宅近くの眼科で右目が緑内障と診断され通院していた。しかし、症状は多少ぼやけて見える程度で「昨年1月の運転免許証の書きかえも問題なかった」。思わぬ症状の変化に、都内の大学病院を訪ねた。診断名は加齢黄斑変性症だった。
男性の主治医で、この病気に詳しい駿河台日大病院眼科の湯沢美都子教授は「一番見たいところが見えなくなる、とてもつらい病気」と話す。眼球の壁は外側から順に強膜、脈絡膜、網膜と並ぶ3つの組織で成り立っている。外から入った光は角膜から水晶体、硝子体を経て網膜の中心にある「黄斑」と呼ばれるくぼみ、さらにその中央の「中心窩(か)」に集まる。黄斑は視力維持や色の識別で重要な役割を担っているが、年を取ると、ここに異常が起きることがある。
湯沢教授によると、この病気には2タイプがあり、特に問題なのは滲出(しんしゅつ)型。脈絡膜から網膜に向かって病的な新しい血管が発生し、黄斑に出血や腫れが生じる。進行が早く、視力が急低下する。しかも視野の真ん中が見えなくなる。
「日常行動が制限されて社会と交われない。他人の助けが必要になり自立が失われる。白内障や緑内障より生活の質が低下する」と湯沢教授。格子状の図形を片目で見たとき、中央部がゆがんだり、部分的に線が欠けたり、中心が暗く見えたりしたら要注意。すぐに眼科を受診し、詳しい検査を受けるべきだ。
治療は、病変部が中心窩から離れていればレーザーで焼きつぶすのが一般的だ。しかし、病変部が中心窩付近にあると治療は難しくなる。そんな場合、熊本大病院では光線力学療法(PDT)を実施している。
PDTは、光感受性を高める薬を静脈に注射した後、病変部だけにレーザーを照射する。すると、病変部の血管に溶け込んだ薬がレーザー光に反応して、病変部だけを小さくすることができる。熊本大の川路隆博助手は「1回で治療が終わる人もいるが、平均すると2、3回は必要だろう」と話す。
最新治療だが、視力は完全に回復しないことも多い。色覚は戻っても視野の中心に見えない部分が残るなど、患者によって効果は異なる。「治療が合えば病状の進行を止めることもできるが、残念ながら完全な治療法はまだない」と川路助手。
それだけに早期発見が大切になる。「50歳を過ぎたら定期的に眼科検診を受けてほしい」と湯沢教授は訴えている。
(熊本日日新聞2007年1月10日付朝刊) |
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