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| 正常眼圧緑内障 日内変動把握しコントロール |
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眼圧の上昇で視神経が死んでしまう緑内障は、糖尿病網膜症に次ぎ日本人の失明原因の第2位。自覚症状がない人が多く、視野の欠落に気付いたときは症状がかなり進んでいる。
「眼圧が正常でも緑内障になる日本人は多く、治療は一人ひとり違ってくる。眼圧の日内変動まで把握し、それに応じた眼圧コントロールをすれば進行を止められる」。日本緑内障学会理事で大阪厚生年金病院(大阪市)の桑山泰明・眼科部長は指摘する。
■自覚症状なし
同学会が岐阜県多治見市で実施した「多治見緑内障疫学調査」では、40歳以上の緑内障は17人に1人(有病率5・78%)で、うち62・2%は正常範囲とされる眼圧11〜21ミリHg(水銀柱)だった。
同学会評議員で熊本大医学部の谷原秀信教授(眼科)によると、緑内障に占める正常眼圧緑内障の比率は欧米人の10倍ぐらいで、日本人は際立っている。
眼圧が急激に上がる急性緑内障は、目の痛みや頭痛などの症状がある。一方、眼圧が正常範囲内の正常眼圧緑内障は痛みも自覚症状もない。「緑内障の原因は必ずしも眼圧だけではなく、遺伝的背景や免疫異常、加齢も危険因子。正常眼圧緑内障は眼圧を30%ほど下げると病状は進行しないが、約2割の人は進行する」と谷原教授。
スウェーデンで進行中の臨床研究では、正常眼圧緑内障患者255人を調べたところ、眼圧を1ミリHg下げるごとに視野障害進行のリスクが10%下がった。
■圧力には個人差
眼圧は一言で言えば目の硬さ。ボールが空気で膨らんでいるように、眼球がへこまず、ちゃんと見えるよう中から圧力がかかっている。個人差があり、高い人も低い人もいるが、一定ではなく日周リズムを持ち変動する。
桑山部長は、自宅で眼圧を測れる「ホームトノメーター」を開発、治療前の患者約200人の日内変動を調べた。日内変動の幅は平均4〜5ミリHg。緑内障では3割が幅が大きかった。約3分の2の人は最高眼圧が日中にあったが、残る約3分の1は夜間にあった。桑山部長によると、正常眼圧でも悪化する人の8割ほどは夜間に眼圧が高いことが多く、昼間の診療では分からない。
正常眼圧緑内障の男性(57)の場合、17ミリHgだったのを、薬で13〜15ミリHgに下げたが進行。日内変動を調べると、昼間の最高は15ミリHgだったが、夜間は25ミリHgだった。桑山部長は「この部分を下げていれば進行しなかったかもしれない」と言う。
■早期発見が大事
眼圧を下げるには、基本的に目の中で栄養分を運ぶ「房水」がつくり出される量を下げ、排出をよくしないといけない。房水の排出をよくするプロスタグランジン関連薬など、眼圧を下げる多くの点眼薬が開発され、眼圧コントロールが可能になっている。
日内変動する眼圧全体を一様に下げる働きがある薬や、一番高い部分だけを削る働きがある薬などがあり、組み合わせて使うと良い場合がある。
桑山部長は「それぞれの患者さんに合わせたオーダーメード治療が必要で、その人の日内変動を把握して精度を上げ、点眼薬の効果を確かめながら十分低い眼圧を目指すことになる」。
一泊入院で眼圧の日内変動を測る施設も増え、熊本大付属病院などでも実施している。「正常眼圧緑内障は気づかないうちに進み元に戻らない。眼科医が診れば眼底検査で分かる。検診による早期発見が大切」。桑山部長は強調する。
(熊本日日新聞2004年1月21日付夕刊メディカル) |
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