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肝臓の“硬さ”測る新装置 体傷つけず繰り返し検査
 C型肝炎など慢性肝障害による肝臓の線維化(硬さ)を測る装置を、医療器具として厚生労働省に承認申請するための臨床試験が大都市圏の病院で進んでいる。慢性肝障害から肝硬変への進行度は、肝臓に針を刺し、取り出した組織を調べる肝生検が標準的な検査法だが、肝繊維化測定装置は患者の体を傷つけず繰り返し検査できる。

 振動波で測定

 この装置は、仏のベンチャー企業、エコセンス社が開発した。商品名は「フィブロスキャン」。振動波が物質を伝わる際、硬い物質の中では速く、軟らかい物質の中では遅いという原理を応用している。脇腹に当てたプローブの装置から発生した弱い振動が、肋骨(ろっこつ)の間を通って肝臓に伝わり、超音波を使い振動が肝臓を伝わる速度を測る。

 測定時間は、位置を変えながら十回測って数分。中央値が肝臓の弾性度(肝繊維化の進行度)になる。皮下脂肪が厚すぎる人などを除き測定可能だ。一般的な肝臓診断では超音波エコーが用いられるが、肝臓の形態は分かっても、硬さまでは分からず医師や臨床検査士の“腕”に頼っている。

 肝臓は「体の化学工場」といわれ、栄養の代謝や貯蔵、毒物の分解といった役割を担う。肝硬変が進み肝不全になると致命傷になりかねず、肝線維化がどの段階かを調べるのは重要だ。

 起きにくいエラー

 フィブロスキャンは二〇〇三年十二月、慶応大付属病院(東京都新宿区)と順天堂大順天堂医院(文京区)が初めて導入した。肝線維化を調べるには、肝生検が最も正確とされるが、患者の負担が大きく、出血の恐れなどから通常は一泊入院する。採取できる組織は肝臓全体のごく一部で、線維化の進んでいない部分を採るエラーも一〜二割程度あるという。

 一方、フィブロスキャンは外来で検査できる。体表から深さ二・五〜六・五センチの範囲が測定可能でエラーも起きにくいとされる。

 原因不明の肝硬変

 日本の肝炎患者はウイルス性やアルコール性の肝炎が多いが、「非アルコール性脂肪性肝炎」(NASH)も増えている。「単なる脂肪肝なら減量すれば元に戻る。ただ脂肪肝の人の中には肝線維化が進み肝硬変になって亡くなる人もいる」と順天堂大消化器内科の榎本信行医師。

 原因不明の肝硬変には少なからぬNASHが含まれているとみられ、高血圧や高脂血症、耐糖能異常などが複合したメタボリックシンドロームが背景にあるとされる。

 NASHは通常の健康診断では分からず、肝生検による組織検査で診断する。脂肪肝が見つかっても、アルコールをあまり飲まない人が油断していると、気付いたら肝硬変になっていることもある。榎本医師は「全世界ではアルコール性肝障害もNASHも、それぞれ約六億人いるとされる。C型肝炎は今後減るだろうが、生活習慣病はなくならない。健康診断にフィブロスキャンを採り入れればNASHの人も発見できるようになるだろう」と話す。

 フィブロスキャンの輸入総代理店「日本ユーロテックス社」(東京都港区)によると、二つの大学病院のほか、東京大付属病院や大阪市大付属病院など大都市圏を中心に十数台導入され、各病院が独自に臨床研究を進めている。九州では久留米大病院と宮崎大付属病院が関心を示しているという。

 (熊本日日新聞2005年4月20日付夕刊掲載)
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