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劇症肝炎の予知 病態の解明進み100%救命
 主にウイルス性肝炎に起因し、肝細胞の急速な壊死(えし)で重大な肝機能障害が生じる劇症肝炎。肝臓移植の対象にもなっているが、急性肝炎になった時点での予知技術を開発し、予知・救命率を100%可能にした医療施設がある。

 予知技術は、昭和大藤が丘病院(横浜市)の与芝真影教授が開発した。同教授によると、黄疸(おうだん)や発熱で急性肝炎に気付いて入院した場合、99%は自然治癒するため問題はないが、残る1%が劇症化する可能性があるという。劇症肝炎になると、肝機能が急激に悪化し黄疸が進行。不安、不眠、傾眠といった神経症状に続いて肝性こん睡に陥る。国内での発生は年間約千例といわれている。

 生存率は最近まで低かったが、病態の解明が進んだことで急速にアップ。こん睡などの肝性脳症が十日以内に現れるのを急性型、それ以降に出現するのを亜急性型と呼ぶ。与芝教授は「こん睡になれば、劇症肝炎は素人でも分かる。医師としていかに早く気付くかが決め手だ。予後が悪い亜急性型は、こん睡が出て気付いた時では遅い」と指摘する。

 藤が丘病院は、過去六年間で五十例を予知。うち十三例が劇症化したが、すべて救命に成功した。患者が急性肝炎で病院に搬送されてきた段階で、原因ウイルスを特定。肝臓の解毒能力を表すビリルビン値、合成能力が分かるアルブミン値とコリンステラーゼ値を測ることによって劇症化の予測を可能にした。まず予測した段階で、ウイルスを排除するインターフェロンや抗ウイルス剤のラミブジン、免疫抑制剤などを投与。劇症化したら、血しょう交換などで肝機能を補助して救命する。

 二十代の女性患者の場合、全身けん怠感で発病し、ウイルスの種類が不明な急性肝炎で最初の病院に入院。二週間後、劇症化が予知されたため、転院した藤が丘病院でインターフェロンと免疫抑制剤を投与。六日後、脳症の症状が出て劇症化したが、肝機能を補助して回復したという。

 「この分野の進歩は早く、劇症化を予知できないと裁判で訴えられる時代になってきた」と与芝教授。「今や、内科医はどうしたら肝臓移植を避けて患者を救えるかが求められている」と力を込める。

 (熊本日日新聞2002年8月13日付夕刊掲載)
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