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若者襲うクローン病 原因不明県内でも急増
 原因不明の難病クローン病の患者が若者を中心に増えている。腸に炎症や潰瘍(かいよう)ができて腹痛や下痢を起こす。放置すると腸に穴があき、手術が必要になることもある。根本的な治療法はまだないが、栄養療法と薬物治療の組み合わせで、症状を改善できるようになってきた。(梅野智博)

クローン病の患者を診察する山田一隆院長=熊本市帯山の高野病院
 県内在住の30歳代の男性は20歳の時に痔瘻(じろう)と診断されて手術を受けた。その後も「立ってられないほど」の貧血に悩まされた。病院を転々とし、7年後にやっとクローン病と分かった。身長は176センチなのに、その時の体重は40キロを割っていた。

 クローン病は、本来は病原体から体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の臓器を攻撃することで起きる。1932(昭和7)年にこの病気を初めて報告したアメリカの医師ブリル・クローン氏にちなんで病名が付けられた。

 国内では希な病気だったが、戦後になって徐々に目立ち始めた。厚生労働省によると、20年前から1年でほぼ1000人ずつ増加し、2003(平成15)年には2万2395人になった。

 食生活の欧米化が原因ともいわれるが、よく分かっていない。厚労省はファストフードの過剰摂取を危険因子に挙げている。そのほかウイルス感染や遺伝的な要因も取りだたされている。

 クローン病に詳しい高野病院(熊本市帯山)の山田一隆院長は「患者は西日本に多い。九州は多発地域で、県内は500人ほど」と話す。同病院データによると、発症年齢のピークは男性が20〜24歳、女性が15〜19歳と若い。さらには「年々若年化する傾向にある」という。

 炎症や潰瘍ができるのは小腸、大腸、肛門(こうもん)に多いが、口や十二指腸など消化器ならばどこでもできる。同じ内臓でも呼吸器や循環器には起きない。

 消化器に潰瘍ができ、そこに食べ物がぶつかると腹痛が起こる。炎症が進んで狭くなり、食べ物が詰まることもある。潰瘍から出血したり栄養が漏れ出て、下痢や体重が減少する。進行すると腸閉塞(へいそく)や、腸に穴があいて腹膜炎が起き、手術となる場合もある。関節炎や目の虹彩炎などを合併することもある。

 症例が少ないだけに、専門知識をもった医師の診察を受けることが重要だという。「例えば病気が胆石ならどこが痛い、と決まった症状が現れるが、クローン病は病状が複雑なので症状もさまざま。専門医でないと診断も難しい」と山田院長。

 小腸と大腸の境目にある回盲部に潰瘍ができると、同じ回盲部で起きる虫垂炎と間違いやすい。肛門だと痔瘻の区別も難しい。腹痛などの自覚症状に合わせて、下痢止めや抗生物質、鎮痛剤などを飲んでも治らない。治療は栄養療法や薬物療法が基本になる。

 栄養療法では、通常の食事をとらず、病気に関係する特定の脂肪、アミノ酸を取り除いた成分栄養剤の摂取に切り替える。炎症が治まり、栄養状態が改善すると全身状態もよくなる。薬物療法では、ステロイド剤など免疫を抑える薬のほか、体内で炎症の発生にかかわる「サイトカイン」という物質を抑える薬も使う。

  厚労省から難病指定されており、医療費の公費補助が受けられる。患者団体NPO法人「JAPAN IBD」(http://www.japanibd.jp)も情報提供している。

  (熊本日日新聞2006年5月3日付朝刊くらし面)
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