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米ファイザー、世界初の吸入インスリン剤の販売打ち切り
 米ファイザー社は22日までに、販売不振から世界初の吸入インスリン剤「イクスベラ」の販売打ち切りを決めた。国内では日本法人(東京都渋谷区)が承認申請直前段階の第V相臨床試験を進めているが、米国本社の決定に追随する公算が大きい。

 同社が、発売開始時に年間売上10億ドル以上のメガ・ドラッグと予測していた薬剤の販売打ち切りは、開発中止を含めると06年12月の高脂血症治療薬トルセトラピブ以来。

イクスベラは1日3回投与の超速効型インスリン。FDA(米国食品医薬品局)が2006年1月に製造販売を承認。針刺しの痛みのない糖尿病治療薬として、米ファイザー社は年間11億ドル以上の売上が見込めるとしていた。

 ところが、(1)専用器で微粒子状に粉砕した後、専用吸入器で吸入するなど手間がかかる(2)咳(せき)の副作用が指摘されており肺機能検査が必要などから敬遠されて販売が低迷していた。

 販売中止に伴い服用中の糖尿病患者には90日間支援し、その間に薬剤を代えてもらう。

 イクスベラは、米ファイザー社、仏サノフィ・アベンティス社、米ネクター・セラピューティクス社が共同開発し、ファイザーが他の2社から製造・販売権を買い取り、独占販売していた。

米ファィザー社は18日、2007年第3・四半期(7月〜9月)の決算を発表したが、イクスベラの販売打ち切りに関連する費用28億ドルを損失に計上した。近く製造・販売権をネクター・セラピューティクス社に返還する交渉に入る。ネクター社は、新たなパートナー探しを始めるとみられる。

 米ファイザー社は、売上高が2006年で世界一の450億8300万ドル。2位の英グラクソ・スミスクライン社に67億ドル以上の差をつけてトップを維持している。しかし薬剤別売上世界一(06年136億ドル)の高脂血症治療薬リピトールが、最短で2010年に米国での特許が失効する可能性がある。これを補うため8億ドルを投入してトルセトラピブの開発を進めていた。しかし臨床試験で患者の死亡リスクを高める関連性が指摘され、06年12月に開発を打ち切った。

 さらに抗菌剤ジスロマックス、抗うつ剤ゾロフト、降圧薬ノルバスクなど主力製品の特許失効で相次いでいたため、今年1月、日本法人を含め世界の全社員の10%に当たる1万人の人員整理と一部の工場や研究所の閉鎖など、大規模なリストラ計画を発表、実行に移している。(南里秀之)

(くまにちコム「健康・医療」2007年10月22日付)

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