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新タイプの経口糖尿病治療薬の臨床試験の結果発表 欧州糖尿病学会
 オランダ・アムステルダムで開かれていた第43回欧州糖尿病学会で、DPP(ジペプチジルペプチダーゼ)−4阻害剤と呼ばれる新しい経口糖尿病治療薬を使った2つの臨床試験の結果が発表された。

 一つは、米メルク社が開発した1日1回投与のシタグリプチン(商品名ジャヌビア)を用いて、日本で進められている第2相臨床試験、もう一つは、スイス・ノバルティス社が開発した1日1回投与のビルダグリプチン(商品名ガルバス)を使った臨床試験。

 このうち日本での第2相臨床試験は、(1)2型糖尿病患者に対するシタグリプチンの有効性と安全性に関する用量反応で、投与開始12週後の糖化ヘモグロビン(HbA1c)値の投与前からの変化を主要評価項目とした(2)2型患者に対するシタグリプチン100r1日1回投与と500r1日2回投与の有効性と安全性を検討、投与4週後の24時間加重平均血糖値を主要評価項目とした。

 (1)では、運動療法で血糖コントロールが不十分な患者363人(28歳〜75歳、投与前のHbA1c値6.5〜10%)を、シタグリプチン25r投与群(投与開始時の平均HbA1c値7.5%)、50r投与群(7.6%)、100r投与群(7.6%)、200r投与群(7.7%)、偽薬投与群(7.7%)の5群に分け、各用量のシタグリプチンまたは偽薬を12週間投与した。

 その結果、投与開始12週後の平均HbA1c値は、偽薬群が0.3%アップした以外、25r群0.4%、50r・100r0.7%、200r0.8%それぞれ低下した。副作用の発現率はシタグリプチン群と偽薬群で有意差はなかった。

 (2)では、食事と運動療法では血糖コントロールが不十分なU型患者80人(31歳〜69歳、投与前の平均HbA1c値6.5〜10%)を、100r1日1回投与群(投与開始時の平均HbA1c値7.8%)、50r1日2回投与群(7.5%)、偽薬群(7.9%)に分類、各用量のシタグリプチンまたは偽薬を4週間投与した。

 結果、投与4週後の各シタグリプチン群の24時間加重平均血糖値は、偽薬群に比較して有意に低下した。ただ2つのシタグリプチン群の24時間加重平均血糖値の低下に有意差はなかった。24時間加重平均血糖値は、入院患者の血糖値を1日何回も測定し算出した血糖値。1日の平均血糖値を示す指標の一つとして評価項目に採り入れたという。

 シタグリプチンは、日本では万有製薬と小野薬品工業が第V相臨床試験から共同開発を進めている。

 一方、ビルダグリプチンの臨床試験は、別の糖尿病治療薬メトフォルミンでは血糖コントロールが不十分な2型患者544人を対象に実施。メトフォルミンにビルダグリプチンを追加投与したところ、全患者の35.5%が血糖コントロール(HbA1c値7.0%未満)を達成した。しかしメトフォルミンと偽薬を併用した患者群の達成率は9.4%にとどまった。

 またHbA1c値が8.0%未満の患者群では、メトフォルミンと偽薬を併用した場合の血糖コントロール達成率が13.3%だったのに対し、メトフォルミンとビルダグリプチン併用群の達成率は54.1%だった。

 欧州では、ビルダグリプチンは、別の糖尿病治療薬メテフォルミンやチアゾリジン誘導体、スルホニル尿素薬との併用で承認される見込みという。

 同学会で発表された別のデーではビルダグリプチンは軽度の腎機能障害のある2型糖尿病患者でも良好な忍容性を示すことが確認された。2型患者の約3分の1に軽度の腎機能障害がみられる。また65歳以上の2型患者238人(平均年齢70歳)を対象にした臨床試験では、HbA1cの平均値を1.2%低下させた。

 DPP−4阻害剤は、インクレチンシステムという血糖値を下げる体内の仕組みを増強することによって高血糖を抑制する。血糖値が上がると消化管ホルモンのインクレチンが、膵臓(すいぞう) のβ細胞とα細胞に作用してインスリンの分泌を促す一方、肝臓でのグルコース(糖)の生産を抑える。この2つのメカニズムによって、血糖上昇時に血糖を下げる生体自身が持つ能力を引き出す。

 シタグリプチンは昨秋から米国で販売され、スルホニル尿素薬単剤では血糖値を十分コントロールできなくなった2型糖尿病患者の治療薬になっている。ビルダグリプチンはブラジルとメキシコで販売されている。(南里秀之)

(くまにちコム「健康・医療」2007年9月28日付)

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