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8年間の追跡試験でも吸入インスリンの有効性と安全性を確認

 オランダ・アムステルダムで開かれていた欧州糖尿病研究学会の年次会議で、吸入インスリン剤の有効性と安全性が8年間の追跡試験で確認されたと報告された。また複数の糖尿病治療薬で血糖をコントロールできていないU型糖尿病者を対象にしたインスリングラルジン注射剤(1日1回投与)との探索試験で、試験終了時の血糖値は吸入インスリン剤(1日3回投与)の方が低くコントロールされていたと発表された。

 吸入インスリン剤(商品名イクスベラ)の臨床試験は、当初の2年間、メトフォルミン(ビグアナイド薬)、スルホニル尿素(SU)、チアゾリジンシオン誘導体(インスリン抵抗性改善薬)、インスリン注射という4種類の糖尿病治療薬のいずれかに吸入インスリン剤を含む群(吸入群)と、吸入インスリン剤を含まない群(対照群)に分類。成人のT型とU型の糖尿病患者173人を吸入群に、44人を対照群に、それぞれ組み入れて実施された。

 吸入群の臨床試験が延長された際、患者173人の半数以上が残り、うち52人がさらに8年間の試験に参加した。

 8年間の試験の主要評価項目は肺機能と血糖コントロール。試験開始時に測定したFEV1(1秒間の努力呼気肺活量)は3、000〜3、500mLで、その後、年間のFEV1の低下は吸入群49mL、対照群71mLだった。また糖化へモグロビン(HbA1c)を物差しにして血糖のレベルを比較すると、吸入群は試験開始時の8.5%が終了時には7.9%に低下。良好な血糖コントロールを保った。

 有害事象のうち頻繁にみられたのは低血糖症。8年間の追跡試験で一人当たり平均1.7件あった。8年間の試験期間を通し最も頻発した呼吸器系の有害事象では上気道炎67.6%、咳41.6%、咽頭炎38.2%だった。

 一方、吸入インスリン剤とインスリングラルジン注射剤(商品名ランタス)との探索試験では、吸入インスリン剤が食事時にインスリンとして働き、血糖を24時間コントロールできるかを探った。複数の経口糖尿病治療薬を使っているものの、血糖をコントロールできていない患者40人に、吸入剤または注射剤を初のインスリンとして投与。5日間の治療期間のうち最後の3日間で評価した。

 患者の血糖値に応じて投与量を徐々に増やし、最後の3日間の1日当たりの投与量は吸入剤約40.1IU相当(15.1r)、注射剤16.4IUだった。この結果、吸入群の食事時の血糖値は注射剤群を下回り、空腹時血糖値は同等だった。最も頻発した有害事象は2群とも低血糖症で、頻度は吸入群が月間8.7件、注射剤群が月間2.4件だった。

 吸入インスリン剤は米ファイザー社が世界で初めて開発。専用吸入器でインスリン粉末を霧状にして口から吸入する。米国ではインスリン注射との併用で、EUでは経口の抗糖尿病薬で血糖値をコントロールできない成人患者の治療薬として承認済み。日本では第V相臨床試験中。同社の日本法人(東京都渋谷区)によると、2剤の探索試験は、複数の抗糖尿病薬で血糖コントルールができない患者がインスリン療法に移行する際、患者の負担が軽くかつ効果があるのは、1日1回注射の「ランタス」か1日3回吸入の「イクスベラ」かを調べるのが目的だったという。(南里秀之)

 (くまにちコム「健康・医療」2007年9月23日付)


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