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U型糖尿病に対する新ジャンルの経口治療剤が膵臓β細胞の機能を改善
 昨秋、米国で発売された新しいジャンルの経口糖尿病治療剤シタグリプチンと既存の糖尿病治療薬メトホルミンを併用投与した臨床試験のデータが、米シカゴで開かれていた米国糖尿病学会の第67次学術会議で報告された。

併用によってU型糖尿病患者の膵臓(すいぞう)のβ細胞機能が有意に改善、GLP−1(グルカゴン様ペプチドー1)と呼ばれる血糖をコントロールするホルモンの濃度がアップしたことが明らかになった。

 シタグリプチンは、GLP−1を分解する酵素ジペチジルペプチダーゼー4の働きを妨げること(DPP−4阻害作用)で、血糖上昇時に血糖を下げるという生体自身が本来持っている能力を高める。

 GLP−1などが膵臓のβ細胞とα細胞に作用して血糖値のコントロールに関与する生体内システム(インクレチンシステム)を増強する。β細胞は血糖値の調節に中心的な役割をするインスリンを産生、分泌する。GLP−1は食後、胃腸管から放出され、β細胞を刺激してインスリンの産生、分泌を促す。その一方でグルカゴンがα細胞から放出されることも抑制し、肝臓でのグルコース(血糖)の産生を抑える。

 シタグリプチン(商品名ジャヌビア)は、こんな作用を持つGLP−1の不活性型への分解を抑制することによって活性型GLP−1の濃度を高め血糖をコントロールする。

 臨床試験の一つはU型糖尿病患者を対象に、シタグリプチンをメトホルミンに追加投与した。結果、メトホルミンの単剤投与に比べ、シタグリプチンの併用群では、食後の血糖増加量に対するβ細胞の反応性(インスリン分泌の静的反応性)が49%、食後の血糖増加率に対するβ細胞の反応性(インスリン分泌の動的反応性)が、それぞれ114%増加した。併用投与以降では54週目で67%の患者が、HbA1c(糖化ヘモグロビン)7%未満になった。一方、メトホルミン単独投与群は44%だった。

 二つ目は、健常成人を対象にしたシタグリプチンとメトホルミンの併用投与。2剤は異なる作用機序でGLP−1に対し相互に補完的な効果を持つことが分かった。また各薬剤を単独投与した時は、偽薬群と比較して、食後の活性型GLP−1はそれぞれ1.95倍、1.76倍の増加だった。併用時には4.12倍に増加して相互補完的な効果がみられた。

 米国食品医薬品局(FDA)は06年秋、シタグリプチンをU型糖尿病患者で食事・運動療法とともに血糖コントロール改善を目的にした単剤使用と、メトホルミンまたはチアゾリジンジオンの単剤と食事・運動療法の組み合わせで血糖コントロールが不十分なU型患者に対する追加投与での使用を条件に承認した。

 ジャヌビアは、米メルク社が開発した世界初のDPP−4阻害タイプの糖尿病治療薬。同社のほか、スイス・ノバルティスファーマ社や米ブリストルマイヤーズ・スクイブ社なども開発を急いでいる。国内ではメルク子会社の万有製薬(東京都中央区)と小野薬品工業(大阪市)が共同で第V相臨床試験を進めている。(南里秀之)

(くまにちコム「健康・医療」2007年7月6日付)

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