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世界初の吸入インスリン長期使用で中間解析結果を発表
 世界初の吸入インスリン「イクスベラ」を使用する糖尿病患者を対象にした長期臨床試験の3年目の中間解析結果が、アメリカ糖尿病学会の第67回年次学術会議で発表された。イクスベラを2年間使った糖尿病患者は肺機能が少し低下したものの、使用中断後1カ月で回復、安全性が確認された。

長期臨床試験は、U型(後発)とT型(原発)の糖尿病患者を対象に、それぞれ実施されている。このうちU型糖尿病患者を対象にした試験は、潜在的な肺疾患がない患者でイクスベラの中止時と再開時の肺の安全性評価が、主要評価項目(プライマリーエンドポイント)になった。

■使用中止後、1カ月で回復

 インスリン注射療法を既に試みていた成人のU型糖尿病患者627人を、イクスベラ投与群かインスリン注射療法継続群に無作為に割り付け。2年間の試験の後、イクスベラ投与を6カ月間中止し、その間はインスリン注射に切り替えた。その後、最初に無作為に割り付けされた療法を再び6カ月間続けた。

 その結果、息を深く吸い込んだ後、思い切り吐き出した時の最初の1秒間で吐き出す息の量(1秒量)と、息を深く吸い込み10秒間止めて、息を吐き出した肺一酸化炭素(CO)拡散能を尺度に測った肺機能の平均低下は、対照群と比較して小さかった。肺機能はイクスベラ吸入後の早期に低下し進行せずに、使用中止後1カ月で回復した。

 血糖値の長期管理の指標になるHgA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)は、イクスベラ群も対照群も、試験開始時は平均7.7%。3年後は双方とも約7.4%に低下、改善された。ただイクスベラ群の方が、試験期間中を通して対照群よりも空腹時血糖値が低かった。またイクスベラ群の3年後の体重は3.5s増、対照群は4.1s増だった。

■咳が注入後の早期に発生

 有害事象、低血糖症の全般的な発生率、重篤な低血糖症の発生率は双方とも同等だった。ただイクスベラ群では咳と息切れ(呼吸困難)が頻繁に発生したが、多くは軽度で注入直後に発生、治療中止はほとんどなかったという。

 一方、成人のT型糖尿病患者580人を対象にした試験も、U型患者対象の試験と同様な評価項目と方法が採られた。

 プライマリーエンドポイントの結果は、U型患者対象の試験と同等だった。ただ対照群に比べ、イクスベラ群は肺機能の平均低下が小さく、注入後の早期に発生、進行せずに注入中止後1カ月で回復した。

 HgA1cの平均値は試験開始時、イクスベラ群7.4%、対照群7.5%。3年後は、それぞれ7.6%、7.2%だった。3年後の体重の増加は、イクスベラ群1.6s、対照群2.9s。

有害事象などもU型患者対象の試験と同じ傾向だった。ただ咳はイクスベラ群でより頻繁に発生したが、ほとんど注入中止にはならなかった。

■日本では第V相試験中

 イクスベラは、米ファイザー社と米ネクター・セラピューティクス社が共同開発した超速効型インスリン。食事前に携帯型の専用吸入器を使い、霧状のインスリン粉末を血中に送り込む。米国では既に製造販売承認済みで、T型患者はイクスベラとインスリン注射を併用、U型も併用する場合もある。EU(欧州連合)では、インスリン療法が必要で経口の糖尿病治療薬では血糖値がコントロールできない成人のU型患者の治療用に承認されている。T型患者には長時間作用型または中間作用型のインスリンと併用される。日本では第V相の臨床試験中だが、発売開始時期は不明という。

 イクスベラを吸入すると、肺機能低下の可能性があるため、使用前に呼吸器の機能検査をし、使用中も呼吸器を時々チェックする必要がある。症状が不安定なぜん息患者や慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)患者、喫煙者、禁煙後半年以内の患者なども使用禁止。また18歳以下の患者や一部のアレルギー患者も使えない。(南里秀之)

(くまにちコム「健康・医療」2007年6月29日付)

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