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| 肝細胞がん免疫療法 臨床試験に着手 国立がんセンター東病院 |
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国立がんセンター東病院(千葉県柏市)が、肝細胞がんに対する免疫療法の第1相臨床試験を2月からスタートする。肝細胞がんで特異的に現れる腫瘍拒絶抗原「グリピカン-3」(GPC3)を標的とするペプチドワクチンを投与し、リンパ球(キラーT細胞)に攻撃させる治療法。安全性と免疫学的な有効性が確認できれば、第2相では再発率が高い肝細胞がんの再発予防や、慢性肝炎、肝硬変からの肝細胞がん発症予防への有効性を確認する考えだ。
GPC3は、ほとんどの肝細胞がんで特異的に現れるがん胎児性抗原。肝細胞がんとメラノーマ、胎生期の肝臓で多く現れるが、成人の正常組織では、胎盤を除いてほとんどみられない。患者の血液中に分泌されるため、肝細胞がんやメラノーマの腫瘍マーカーとしても活用される。同病院臨床開発センターの中面(なかつら)哲也・機能再生室長(元熊本大助手)らは、熊本大時代に腫瘍マーカーとしての有用性を証明し、今回投与する2種類のペプチドを同定した。
第1相試験の計画では、ヒト白血球抗原のHLA-A24用とHLA-A2用の2種のGPC3ペプチドワクチンを使う。この2種類で日本人の肝細胞がんの85%程度に対応できるとみている。対象はHLA-A24かHLA-A2を持つ進行肝細胞がん患者18人。3グループに分け、それぞれ0.3mg、1.0mg、3.0mgのペプチドを2週間に1回、計3回皮内投与する。
マウスの実験では、抗腫瘍効果が認められ、安全性が立証されている。計画は06年11月、同病院の倫理審査委員会に承認された。
がん免疫療法は、手術、化学療法(抗がん剤)、放射線に続く“第4の治療法”。しかし、研究の歴史が古い割に実用的なものはほとんどなく、現状では約200種類あるがんの中でも、悪性リンパ腫、悪性黒色腫(メラノーマ)、腎臓がん、肝細胞がんなどに限られている。
中面室長は「リンパ球を増やして体内に戻したり、キノコの一種のアガリクス、メシマコブなどの健康食品を使う手法が国内の多くの施設で行われているが、その有効性はエビデンス(科学的根拠)に乏しい」と指摘。「だからこそ、免疫療法の科学的な有効性を確認することが必要だ」と訴える。
リンパ球は、がん細胞に対し、10倍以上の数がないと効果が現れないことから、中面室長はがんを免疫療法だけで消滅させるのは困難とみている。直径1cm(約1g)のがんには、10億個のがん細胞があり、縮小させるにはリンパ球が100億個以上も必要になる。しかし、ヒトの体には1兆個のリンパ球しかない上に、そもそもがんは免疫系の攻撃から逃れて成長して来たものだ。このため中面室長は、ラジオ波で加熱してがんを壊死させるラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法や放射線治療などに免疫療法を加え、進行肝がんに対応する考えだ。
中面室長は「我々が見つけたペプチドを患者さんに投与できることは大変感慨深いことだが、同時に重責を担ったと感じている。免疫療法はどこまで効くのか、一歩一歩証明していきたい」と意気込みを語っている。(高本文明)
(くまにちコム「健康・医療」2007年1月29日付) |
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