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がん在宅緩和ケア 高齢社会で必要性高まる
がんによる死亡者数が過去最高を更新している。2005年は3人中1人は、がんが死因だった。厚生労働省は07年度、がんによる痛みを和らげる緩和治療(ケア)と在宅治療を進めるため、全都道府県に在宅緩和ケア支援センター(仮称)を設置、医療用麻薬の使い方などを普及させる。
地域のがん治療の核になる地域拠点病院。熊本県では熊本市立熊本市民病院の1カ所のみ
オピオイド
最強の鎮痛薬。がんに伴う激痛や疼痛の緩和にも使う。主な副作用は眠気、高齢者では便秘や尿の貯留。大量投与は呼吸抑制やこん睡など重い副作用を起こす。モルヒネ、コデイン、フェンタニル、メペリジン、メサドン、プロポキシフェン、レボルファノール、ヒドロモルホン、オキシコドン、オキシモルホンなどがある。
厚労省の05年の人口動態統計によると、がんの死亡者数は32万5885人と過去最多。1981年以来、死因のトップを独走中だ。高齢化社会の進行で今後も増え続けるとみられ、緩和ケアと在宅治療の必要性が指摘されている。
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医師の無知
緩和ケアは医療用麻酔、特にモルヒネの使用が不可欠だが、モルヒネはアヘンから分離した結晶。欧米の中国侵略の発端になった「アヘン戦争」に象徴されるように、アヘンは健康な人の快楽中枢を刺激し、依存症に陥らせるというイメージが強く、日本では使用をためらう医師が多い。
結果、日本は“薬消費大国”なのに、モルヒネに限ると、その使用量は米、仏の4分の1、カナダ、オーストラリアの7分の1にすぎないという。「がんの痛みがある状態でモルヒネを与えると、神経系のオピオイド受容体のバランスの乱れが正常化し、モルヒネの刺激が快楽中枢に入ることはない。がんが痛いというのは医師の無知が原因で怠慢でしかない」。20年近く、がんの痛みからの解放を訴え、WHO方式がん疼痛治療法の普及に奔走する埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)の武田文和・客員教授は断言する。
一方、欧米ではモルヒネなど医療用麻薬を使う緩和ケアが発達している。座薬や貼付剤、液体といった、いろんな剤形があり、がんの種類や進行度に応じて使い分けるという。
モルヒネなどを投与すると、日本では死を待つ末期がん患者の治療という印象が強いが、欧米では初期がんの段階からモルヒネなどが処方され、通常のがん治療に組み込まれている。
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拠点病院増が課題
こんな緩和ケアを在宅で進めるのが厚労省の狙いで、「在宅緩和ケア対策推進事業」として来年度予算に2億5100万円を概算要求。各都道府県に「在宅緩和ケア支援センター」を設置し、がん患者の在宅療養を後押しする。背景に医療費の削減があるとみられるが、病院より自宅で家族に見守られての治療を望む、がん患者も少なくない。
熊本県では、地域のがん治療の核になる「地域がん診療連携拠点病院」が熊本市民病院(熊本市)1カ所しかなく、拠点病院を増やすのが課題の一つ。拠点病院は「院内がん登録」(治療件数や5年生存率など)が義務付けられるが、熊本労災病院(八代市)など複数の病院が浮かんでいる。
ただ地域拠点病院を支援する熊本大付属病院(熊本市)が「緩和ケア支援センター」を開設しており、厚労省が計画している支援センターになる公算が大きい。
がんの治療実績が豊富な同付属病院の臨床医と熊本県は既に協議会を設けており、この協議会に部会を置き緩和ケアを研究。また県医師会が熊本地域医療センター(熊本市)で開いている緩和ケアの研修会の内容を手厚くして、看護師なども含めた医療従事者を対象にした医療用麻酔薬の使用法などを普及させる。
(熊本日日新聞2006年10月18日夕刊メディカル)
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