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| ラジオ波で肝がん治療 効果が高く入院も短縮 |
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全国で年間約3万4千人が亡くなっている肝がんは、治療が難しいがんの一つ。その肝がんに効果の高い治療法が広がり始めた。超音波で観察しながら電極をがんの部位に挿入、ラジオ波で加熱して壊死(えし)させる「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」だ。
東京大病院の消化器内科では既に約670例にラジオ波焼灼療法を試した。「既存の治療法より確実にがん全体を壊死させることができる。入院期間も短縮できるなど患者の生活の質(QOL)向上にもつながる」と椎名秀一朗医師。今後数年以内に肝がん治療の主流になるとみている。
■大きく破壊
肝がんの治療は厳しい。手術できるのは肝機能が良く、あまり進行していない20%程度に限られる。切除したとしても、5年以内に80%以上が再発する。内科的治療は、一時的にがん病巣への血流を止める肝動脈塞栓(そくせん)術や、エタノール注入、マイクロ波凝固などがある。
ラジオ波焼灼療法は、1回で直径約3センチまでの範囲を予想通りに壊死させることができる。1回の治療で大きな範囲を壊死させるエタノール注入と、1〜2センチの範囲を確実に破壊するマイクロ波凝固の長所を兼ね備えた治療法といえる。
■体の負担少ない
治療の手順は、局所麻酔の後、超音波画像などで確認しながら、わき腹から直径1・6ミリの針状の電極を挿入してがんの部分に到達させる。電極の周囲に450キロヘルツの強いラジオ波を出し、1カ所1分半から12分間約90度に加熱し、がんを破壊する。肝硬変を合併している患者や高齢者にも比較的安全に実施できるという。
ラジオ波焼灼療法は欧米で始まり、椎名医師らは1999年に東大病院の許可を得て臨床に取り入れた。手掛けた約670の症例数は世界でもトップレベルだ。
大半の患者は肝がんが進行していたり、肝硬変が進んでいたりして、手術できなかった。それでもラジオ波の治療後、90%以上が1年以上生存し、がんの局所再発も2%と低い。
東大病院は最大10センチ近いがんも治した。治療回数は平均2回、入院は平均14日。従来の治療法より回数は大幅に減り、入院期間も短くなっている。
■転移も対象
ラジオ波焼灼療法は、熱で組織を破壊するため、線維組織が多くてエタノール注入では治療効果が期待しにくい大腸がんの肝転移などにも役立つ。90年代にラジオ波焼灼療法が開発された米国では、肝細胞がんより転移性肝がんに使われているという。
戦後C型肝炎ウイルスに感染した人たちの間で肝がんが増え、肝がんの治療成績アップは緊急の課題だ。このためラジオ波焼灼療法は急速に広まりつつある。日本肝癌研究会(代表・山岡義雄京都大第二外科教授)が、会員750カ所の医療施設を対象に調べたところ、全国で既に約4500人を治療していた。
ただ高度先進医療と位置付けられており、治療費に健康保険が適用されないのが最大の難点だ。病院の研究費や患者の自己負担による自由診療のため、九州では九州大病院、久留米中央病院、国立病院長崎医療センター(大村市)、熊本大病院といった公的病院を中心に実施されるにとどまっている。
(熊本日日新聞2002年2月5日付夕刊) |
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