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| 副作用ない免疫療法確立へ 肝がんで臨床試験計画 |
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免疫療法によるがん治療の研究が盛んに行われている。熊本大大学院医学薬学研究部免疫識別学分野の中面哲也助手(10月1日付で国立がんセンター東病院臨床開発センターがん治療開発部機能再生室長)もその一人。同療法の歴史は古いが、科学的根拠が分かったのは15年ほど前で未解明な部分も多いという。一方、同療法への認識に誤解も少なくないようだ。先端技術や将来の可能性を解説してもらった。(岡本幸浩)
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| ◇なかつら・てつや 1992年、熊本大医学部卒。94年から3年間、国立がんセンター東病院肝胆膵外科を中心に勤務。2001年10月から熊本大大学院医学薬学研究部免疫識別学分野助手。05年10月から国立がんセンター東病院臨床開発センターがん治療開発部機能再生室長。日本外科学会認定医。鹿児島県阿久根市出身。38歳。 |
―がん細胞を殺す免疫システムとは。
「免疫反応の担い手であるリンパ球には、細胞そのものが働くT細胞と抗体をつくるB細胞がある。T細胞のうち、キラーT細胞はウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺す役割を持つ。体内のすべての細胞の表面にはHLAクラスIという分子が出ていて、8―10個のアミノ酸からなるペプチドと結合している」
「HLAクラスI分子には通常、自己の細胞がつくったタンパク質が分解されてできたペプチド(自己ペプチド)が結合しているが、キラーT細胞はこの細胞は殺さない。しかし細胞にウイルスが感染したり細胞ががん化して特異なタンパク質がつくられると、非自己ペプチドがHLAクラスI分子に結合して細胞の表面に出る。キラーT細胞はこれらを識別して感染細胞やがん細胞を殺す。つまり、がん細胞には結合しているが正常細胞には結合していないペプチドを同定すると、がん細胞だけを殺せるキラーT細胞を誘導できる。そうすれば副作用のない、理想的ながん治療が可能になる」
「このような科学的根拠に基づいた特異なペプチドを標的にする療法と違い、日本国内の多くの施設で行われているリンパ球を増やして体内に戻す療法や、キノコの一種のアガリクス、メシマコブなどを成分とする健康食品の有効性は科学的根拠が乏しい」
―先進的な免疫療法にはどのような手法がある?
「現在、最も強力で有効な免疫療法を報告しているのは米国のローゼンバーグらだ。彼らは抗がん剤などで患者の体内のリンパ球数をゼロに近づけ、体内でリンパ球が増殖可能なスペースを確保した上で、あらかじめ体外で培養しておいたがん細胞だけを殺すリンパ球を体内に戻す手法を開発した。有効な治療法のない転移性メラノーマ(皮膚がんの一種)の患者の約半数に、がん細胞の消失か縮小の効果があった」
―所属する西村泰治教授の教室の研究成果は。
「がん細胞の表面だけに結合しているペプチドを数多く同定しており、既にマウスでそのペプチドを用いた免疫療法が副作用なく有効なのを証明している。国立がんセンター東病院との共同研究で、まずは再発率の高い根治治療後の肝細胞がん患者に、私たちが開発したその免疫療法で再発予防効果を確かめる臨床試験を計画中。将来、すべてのがんに有効な免疫療法の開発を目指している」
「現在の抗がん剤治療には副作用が伴う。これに対して、私たちが開発した免疫療法は副作用のない理想的ながん治療になる可能性を十分に秘めている」
(熊本日日新聞2005年5月23日付朝刊科学面「フロント・ランナー」) |
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