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血管新生阻害タイプの抗がん剤アバスチン発売へ、手術不能な再発性の結腸・直腸がん治療に他の抗がん剤と併用
アバスチンが作用する仕組みの模式図。血管内皮増殖因子によりがんには異常な血管ができるが、アバスチンは同因子に結合して働きを抑制、血管を縮小させ新しくできるのも抑える(上から)(中外製薬提供)
  血管新生を阻害するタイプの抗がん剤「アバスチン」(一般名ヒト化モノクロナール抗体ベバシズマブ)が、手術が不可能な進行性、再発性の結腸・直腸がんの治療薬として厚生労働省が製造販売を承認した。発売は6月中旬頃になる見込みだが、他の抗がん剤との併用が条件で、血管新生の重要な因子であるVEGF(血管内皮増殖因子)という生体内のタンパク質を狙い撃ちし、がんの増殖と全身転移に欠かせない血液の供給を遮断する。

 海外の臨床試験では明かな延命効果とともに重大や副作用も報告されている。さらに国内での臨床試験18例、安全性確認試験62例と使用経験も極めて少ないため、輸入販売する中外製薬(東京都中央区)は「発売後一定期間はがん化学療法に精通し、副作用への緊急対応が可能な医療機関に限って発売する」としている。

 がんが増殖する際、がん細胞に酸素や栄養を運ぶ新生血管という新しい血管が作られる。 その際に必要なのが血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と呼ばれる増殖因子。新しい血管をつくるタンパクで血管新生にとどまらず、腫瘍(しゅよう)や炎症性病変などにみられる浮腫のメカニズムにも関与しているという。

 アバスチンは、この増殖因子に結び付いて腫瘍血管を縮小させたり、新生血管を抑制したりする。また異常な腫瘍血管を正常化させて、併用投与する別の抗がん剤の働きをよくしたりする。米国では2004年2月、EUでは05年1月に承認され、大腸がん治療のファーストライン(第一選択肢)になっている。国内では05年7月、厚労省の未承認薬使用問題検討会議が、中外製薬に早期申請と安全性確認試験の実施を要請。国立がんセンター東病院(千葉県柏市)の土井俊彦・消化管内科医長らが臨床試験を実施、平均生存期間が20カ月〜21カ月と10年前より10カ月ほど延びたという。

 ただ海外の41カ国、1、914人の臨床試験では、消化管に穴があく約1%〜2%、傷口が治りにくくなる約2%〜8%、腫瘍からの出血約2%〜5%、中等度以上の心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞(こうそく)、深部静脈血栓症など約2%〜9%、など重大な副作用が報告されている。さらに他の抗がん剤と併用すると、高血圧やタンパク尿、白血球数・好中球数の減少、鼻血など粘膜からの出血、などの副作用が単独投与の場合よりも多くみられる。

 中外製薬は、発売から18カ月間の調査期間を予定し、2、500例を目標に全例調査、国内副作用情報を早急に提供する。(南里秀之)

くまにちコム「健康・医療」2007年5月16日付)

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