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脳外傷など後遺症が原因 高次脳機能障害
患者掘り起こしへ 進む県内の独自診断体制 |
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交通事故による脳外傷や脳卒中などの後遺症で、記憶障害や性格の変化などが起こり、日常生活に支障が出てくる「高次脳機能障害」。全国では約30万人と推計されるものの、診断や訓練方法の指導ができる医療機関は少ない。県内では、県医師会と関係機関でつくる県高次脳機能障害検討委員会(委員長・勝久文雄県医師会副会長)が23の医療機関を独自に指定し、診断・治療の体制づくりや患者の掘り起こしを進めている。(暮らし情報部 高本文明)
高次脳機能障害は、注意障害、記憶障害など、脳の損傷を原因とした精神・心理面の障害を全般的に指す。脳卒中や交通事故による頭部の大けが、脳炎、低酸素脳症、一酸化炭素中毒などが原因となる。
■「見えない障害」
高次脳機能障害は、外見上は障害があるとは分かりにくいため、「見えない障害」と呼ばれてきた。研究の第一人者で、同委員会事務局長の中島恵子・九州ルーテル学院大教授は「人が変わった、怠けているなどと誤解されて引きこもったり、認知症などと誤った診断を受け、適切な治療や障害の認定を受けられないケースもある」という。
診断体制は、故三村孝一県医師会副会長が中心になり検討を進め、二〇〇六年一月にスタート。脳神経外科、神経内科、精神科、リハビリテーション科の四分野で、拠点病院(専門病院)七機関と、協力する十六の二次的医療機関を指定した。精神科では熊本大病院も今夏、拠点病院に参加する予定。
県精神保健福祉センター(熊本市水道町)を総合相談窓口としており、患者や家族が問い合わせれば、相談員が患者の状態などを聞き、各医療機関を紹介する仕組みだ。
同センターの中島央所長は「高次脳機能障害はだれにでも起こりうる。正しく理解してもらうため、もっと啓発が必要だ」と指摘する。県は本年度、家族会「ぷらむ熊本」にアンケート調査を行い、生活実態などを把握することにしている。
診断がつくメリットは大きい。過去の発症でも高次脳機能障害と新たに診断されれば、診断から三カ月間、保険適用で治療や訓練を受けることができる。〇六年の診療報酬改定では医療保険のリハビリに最長百八十日の制限が設けられたが、高次脳機能障害は、日数制限の例外とされている。医師が「改善が期待できる」と診断すればリハビリを続けられる。
中島教授は「まず診断を受けられなければ、適切な治療やリハビリにはつながらない。診断に対応する病院を全県的に二十以上も指定した都道府県はほかにはない」と話す。
■利用わずか10件
しかし、課題も多い。PR不足もあり、県内で診断体制を利用した例は現在までわずか十件程度しかない。東京都や福岡県などの調査では、人口十万人当たり二十〜五十人の患者がいるとされる。熊本県で試算すると四百〜九百人だが、県内の実態調査はこれからだ。
県内の交通事故の死者は年々減少傾向にあるものの、負傷者は一万六千八百三十六人(〇六年)と過去最悪のレベルで推移。脳卒中などの脳血管疾患で亡くなった人は二千百四十一人(〇五年)に上る。救命医療が進む一方で、後遺症を抱える人は多いとみられる。
厚生労働省は〇一年度から福岡県など全国十二地域で支援モデル事業を実施。〇六年度施行の障害者自立支援法に基づき、同県は県内四カ所に相談支援コーディネーターを置くなど、患者支援に力を入れている。
中島教授は「大分では県主導で実態調査が進んでおり、熊本も行政がリーダーシップを発揮してほしい。専門的なリハビリ体制をどう充実させるか、人材育成も課題だ」と話している。
(熊本日日新聞2007年4月30日付朝刊)
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