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加圧トレーニング 筋力強化リハビリに効果
 血流を制限しながら、筋肉に軽い負荷をかけて短期間に筋肉を増強していく「加圧トレーニング」。この“日本発”のトレーニング法が、脳梗塞(こうそく)などによる後遺症に悩む患者のリハビリや高齢者の介護予防に非常に有効という。

筋肉を太く

 加圧トレーニングは、サトウスポーツプラザ(東京都府中市)の佐藤義昭社長が世界で初めて考えた。『筋肉を太く大きくしたい』という素朴な欲求から生まれたという。加圧トレーニング学会も誕生し、佐藤社長が初代会長に就任。二月十九日から二日間、八王子市の都立大国際交流会館で初の総会を開いた。

 基調講演の中で佐藤会長は「このトレーニングにより筋肉内でさまざまな成長因子が活性化され、著しい筋肥大・筋力増強効果がもたらされる。これからの介護予防に大きく貢献できると確信している」と強調した。トレーニングは、最新医療を目指す東京大付属病院の「22世紀医療センタープロジェクト」に参画。さらに宇宙空間での筋力低下防止にも応用されている。

 「高齢者やリハビリに求められるのは、筋肉への負担や運動の量・時間が少なく、しかも効果が大きいトレーニングだが、普通はそういうものはあり得ない。ところが、これらの要件をすべて満たすのが加圧トレーニング」。石井直方東京大大学院教授(筋生理学)は、そう指摘する。石井教授も最初は加圧トレーニングの効果を信じなかった。

  100倍の成長ホルモン

 小田切病院(川崎市)の小田切研一院長は「高齢患者が加圧トレーニングによって筋量が増大し生活動作も改善した」と報告した。同病院は、脳出血や脳梗塞(こうそく)、脳血管障害の後遺症で手足にまひがあったり、筋肉疾患のある患者を中心に、加圧筋力トレーニングや加圧リハビリ治療を手掛けている。

 小田切院長によると、七十〜八十九歳の六十一人(うち五十五人は寝たきり)を対象に延べ二千回を超える加圧リハビリを実施した。その後、大腿(たい)の筋肉の断面積を測定したら、加圧リハビリ後二カ月で平均56%肥大していた。

 その結果、寝たきりの人のうち53%がおむつが要らなくなった。一年間寝たきりだった人が歩いて退院し、現在は通院中という。

 老衰の百四歳の女性の場合、かろうじてベッドから起き上がれる状態だった。一日一回、手足を計二十分、週五回の加圧リハビリをして、普通の生活に戻った。小田切院長は「絶対出ないと思っていた成長ホルモンが若い人と同じように、通常の約百倍も出て驚いた」。女性は現在、普通に歩き、加圧トレーニングを続けている。

  歩くだけで増強

 サトウスポーツプラザ横浜支部の鈴木俊光氏(加圧トレーニング指導者)は「寝たきりで両ひざが九〇度に曲がったまま、自分で起きて座ることができなかった七十二歳の脳梗塞患者に加圧トレーニングをしたところ、家の中ではつえなしで歩けるようになった」と述べた。

 また老化予防の研究に協力し、加圧トレーニングを昨夏に始めた男性(76)も「両ももにバンドをして毎日歩行し、二分歩いて一分休みを五回。十五分だけで軽いが、半年で断面積が10%増えた。成長ホルモンは加圧十五分後で静止時の七十倍。歩くのが速くなった。歩幅が広くなった感じ。何よりも毎年ひいていた風邪をひかなくなった」。

 石井教授は「加圧トレーニングの効果が、加圧なしで軽いトレーニングをした他の筋肉に転移することが分かってきた。このことは直接、加圧トレーニングできない、体の内部の筋肉も強化できる可能性を示しており、期待は大きい」と話す。

  (熊本日日新聞2005年3月9日夕刊掲載)
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