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遷延性意識障害者 福祉の底上げで人権守る
 脳卒中や交通事故などで長期間、意識が戻らなくなった重症意識障害者の家族らが「全国遷延性意識障害者・家族の会」を結成した。十一月末には役員会を開いて、組織の拡大を申し合わせる。

 会の結成は、国の支援と障害に対する社会の理解を求める狙い。尾辻秀久厚労相との交渉では、近く在宅患者のたんの吸引をホームヘルパーに認めるさせる約束も取り付けた。

 長期間、意識の戻らない患者は「遷延性意識障害者」と呼ばれる。自力歩行や会話ができない植物状態の人を指し、その数は入院患者の数から二万人と推定されているが、同家族の会の藤井恵三子・事務局長は「実態はもっと多いはずです。厚労省にはまず患者の数をつかむ実態調査をお願いしたい」と話す。

 患者は、申請すれば、身体障害者一級に認定されるため、医療費などは原則、無料化されている。しかし退院後、在宅治療に移ると、たんの吸引など介護のため、常に監視が必要で家族はろくろく外出もできない。いわば「医療と福祉の谷間」の存在で、医療施設や既存制度を利用できないケースも少なくない。

 同会の桑山雄次代表は「患者の家族は、日常の介護に追われ、社会活動ができなかった。家から出られないことで政治から遠い所におかれてきたが、声なき声は多いはずだ。ただ行政を動かすのに組織が必要と思った。重症意識障害者の人権を守るには、全体の福祉の底上げしかない」と強調する。

 同会は、患者の実態調査をはじめ、医療施設が患者を短期間あずかる「メディカルショートステイ制度」の創設、身体障害者と遷延性意識障害者の違いを認め、障害者政策に組み込むなどを厚労省に訴えている。

 「しかし」と藤井事務局長。会が結成されたといっても会員は二百人弱。家族の会は、東京都に二つ、茨城県、山梨県、奈良県、大阪府に各一つの計六団体。支部も福島、栃木、新潟、東京、長野、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、奈良、兵庫の十二都府県。北海道、中国・四国、九州・沖縄は“空白区”だ。

 藤井事務局長は「私の場合、長男が交通事故で遷延性意識障害者になって入院し、六年目に意識が戻った。その後、十四年間在宅で介護している。医師には三カ月ほどで『もう回復しない』と言ってほしくない。ただ在宅介護は医療的なケアが必要で、国の支援がないなら家族も倒れる」。

 連絡は藤井恵三子さん(電)03(3723)7275(午後五時まで)

  (熊本日日新聞2004年11月17日夕刊掲載)
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