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急性的な麻痺、しびれ… 脳梗塞の前触れ!?
 国内に150万人の患者がいると言われる脳卒中。日本では寝たきりになる原因のトップで、がん、心臓病に次いで死因も3位と高い。手足や口などが急に麻痺(まひ)するほか、前触れとして軽いしびれなどの症状が出ることも多い。重い障害を予防するには、それらの予兆を見逃さないことが大切だ。

熊本赤十字病院で開かれた脳卒中勉強会。脳梗塞(こうそく)の入院患者や家族が再発防止策や症状などを学んだ=熊本市
 脳卒中には血管が詰まることで起こる脳梗塞(こうそく)と、血管が破れる脳出血、くも膜下出血の3種類がある。日本人の場合、患者の4分の3は脳梗塞が占める。

 熊本市の男性(77)は8月18日夕、テレビを見ていると突然、左半身に強いしびれを感じた。体が動かず、台所の妻を呼ぼうとしたが、口もこわばり声が出ない。左足がけいれんして、偶然に床を「どんどん」とけりつけたのが幸いした。妻がすぐその音に気付いて同市の熊本赤十字病院に運ばれた。発症から1時間後だった。

 男性は、心臓でできた血の固まりが流れ出て、脳の太い血管を詰まらせる「心原性脳塞栓(そくせん)症」だった。「脳細胞の壊死(えし)がどんどん広がる。一刻も早く治療を始めたい」と同病院神経内科副部長の和田邦泰医師。

  男性には血液の固まりを強力に溶かす新薬(t-PA)が投与された。副作用があり使えない人も多いという難点があるが、効果は劇的だ。「しびれや麻痺が見る見るうちに消えた。その日のうちに、手足に力が入るようになった」と男性は振り返る。

 治療には脳の腫れを抑えたり、組織を保護する薬も使われる。いずれも一刻も早く投与する必要がある。「妻がいてくれたので助かった。幸運だった」。男性は5日後にはリハビリを始めた。

 高血圧などで傷んだ細い血管が詰まる脳梗塞は「ラクナ梗塞」と呼ばれる。和田医師によると、症状は軽いことが多い。しかし、放置すると危険だ。詰まった血管が増えて急に病状が重くなることも多い。

 熊本市在住の50代の女性は8月中旬、朝起きると左肩に軽いしびれを感じた。「歯を治療中だったので、痛み止めの飲み過ぎが原因かなあ」と思っていたという。

 翌日朝には左肩が上がらなくなっていた。会社に病欠の電話をした時、「声がおかしい」と指摘された。家族の運転で病院に着いた時には、車から自力で降りられなかった。幸いにも病状は軽かったが、女性は「病院が怖く治療を受けるのを戸惑った」と反省する。

 脳梗塞の前触れに気付いたら大至急治療を受けることが重要だ。しかし、しびれなどの感覚異常は脳梗塞以外の病気でもよくあるので、素人には見分けがつきにくい。

 和田医師によると、糖尿病など生活習慣病の人、不整脈がある人はリスクが高いという。また、多くの神経症状は慢性的で数カ月かけて徐々に進むことに比べ、脳梗塞は「朝起きると症状がある」など急性的であることが目安となる。また、ものが二重に見えたり、片方の視力が低下したりもする。

 和田医師は「症状には個人差が大きいので、神経内科などの専門医を訪ねてほしい。脳梗塞の治療は時間が勝負です」と話した。(梅野智博)

 (熊本日日新聞2006年8月30日付朝刊くらし面)
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