



|
認知症の早期発見 「かかりつけ医」と連携
|
 |
 |
 |
認知症の早期発見には、高齢者が日ごろから受診するかかりつけ医の協力が欠かせない。県は本年度の新たな取り組みとして、十一月に「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施。かかりつけ医に認知症に関する知識を身につけてもらい、早期発見の役割を担ってもらう。
「認知症の原因はさまざま。治療できるものもあれば、重大な病気が潜んでいることもある。アルツハイマー型でも早期なら薬で症状の進行を遅らせることもできる」。県内の専門医や保健師らでつくる「認知症予防研究会」の小山和作会長は、認知症の早期発見の必要性をこう説明する。
さらに「軽度のうちに分かれば家族が介護などの態勢をじっくり考えることができるし、本人も自分の意思を伝えておくことができる」と小山会長。
ところが実際は、徘徊(はいかい)などの問題行動が出て初めて受診するケースが少なくない。家族が「変化」に気付いても、本人が否定したり、家族も「年のせいだ」と片付けたりするからだ。また、精神科病院など専門の医療機関は、初めて受診する人などにとって敷居が高く、このことも受診を遅らせる要因になっているという。
「気軽に受診できるよう『もの忘れ外来』も増えているが、身近なかかりつけ医が風邪や腹痛と同じように診断し、必要な場合は専門医につなぐのが理想」と小山会長。「内科や整形外科などの一般外来で認知症にも対応する医療機関は増加傾向にある」という。
■ ■
芦北郡芦北町の百崎内科医院(百崎末雄院長)は、認知症の早期発見に積極的に取り組む医療機関の一つ。「うちの父が葬式の最中に笑い出して困った」「しゅうとめが私のことを泥棒呼ばわりする」など家族からの相談が、認知症発見のきっかけになるという。
「診察室を出た後、かぶってこなかった帽子を探しに戻ってきたり、受付や診察室、処置室で何度も同じことを言ったり、といった行動から気付くこともある」と百崎院長(65)。「診断後、その人の生活をどう支えるかを家族と一緒に考えるのも、かかりつけ医の役目だと思う」
一方で、認知症への関心の低いかかりつけ医も少なくない。荒尾市四ツ山町のふじさわ脳神経外科クリニックの藤沢和久院長(52)は、福祉関係者からこんな相談を受けた。「認知症があると思うが、かかりつけ医が診断書に書いてくれない」。一人暮らしの八十代の女性は認知症と診断されなかったため、最も軽い「要支援1」に認定、利用できるサービスではとても生活できなかったという。
藤沢院長は「その女性は脳機能検査したら、明らかに認知症でした。かかりつけ医が患者の老いに付き合う中で、認知症は避けて通れない。初期の認知症の場合、診断が難しい面もあるが、要は関心を持つかどうかだと思う」と指摘する。
■ ■
県は本年度、県医師会に委託し、かかりつけ医を対象にした認知症対応力向上研修を実施する。プログラムは▽認知症高齢者の実態▽認知症と間違えられやすい症状・状態▽患者・家族に対する病気の説明のプロセス▽権利擁護―など計六時間。昨年度に養成した三人の「認知症サポート医」が講師となり、県南と県北でそれぞれ開く予定だ。
県高齢者支援総室は「認知症の知識を持ったかかりつけ医が専門医療機関や地域包括支援センターと連携し、認知症高齢者を地域で支える仕組みを充実させたい」と話している。(田川里美)
(熊本日日新聞2006年8月15日付朝刊くらし面) |
|
 |
 |
 |
|
|