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施設から学びの場へ 高齢者いきいき
 介護施設が学校になったら、高齢者はもっと楽しく生き生きと過ごせるのではないか。そんな発想の下、音読や計算などの学習療法や、音楽療法などの機能訓練を授業形式で提供している通所介護事業所がある。その名も「おとなの学校」。黒板のある教室で受ける授業は、認知症の症状改善につながっているという。

黒板のある教室で、収穫した野菜を使いどんな料理をするかで盛り上がる生徒たち=熊本市の「おとなの学校」
 「午後の一時間目は理科です。まずは出席を取ります」。熊本市三郎の認知症対応型通所介護事業所「おとなの学校」の教室で、高齢者四人が黒板に向かって座っている。この日の学習は「植物の育て方」。まずは栽培中の野菜について収穫後の料理法を出し合った。「ピーマンは焼いておしょうゆを垂らすとおいしか」「ナスはみそよごしがいい」

 話が盛り上がったところで、先生役の管理者山内美香さんが「野菜をおいしく育てるには水やりや草むしりが必要です」。“生徒”たちは敷地内の菜園に向かった。「学校の授業という設定だと、認知症があるのに不思議とピシッとされる。教室や菜園への移動もスムーズにいくんです」と山内さん。

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 「おとなの学校」は今年二月に開校。機能訓練や食事などのサービスを学校生活になぞらえて提供するのが特徴だ。“生徒”は校章入りのスクールバスで登校し、時間割に沿って授業を受ける。

 午前は「国語」と「算数」の時間。認知症の改善に効果があるとされる音読や計算などの学習療法に取り組む。給食の後は、野菜や花を育てる「理科」、昔の歌を歌う「音楽」、歴史上の人物を題材に記憶をたどる「社会」、体操や生活リハビリを実施する「体育」などから日替わりで二科目。授業時間は集中力が続く三十分。休み時間はたっぷり一時間取る。

 校歌も作り、運動会や、家族や地域の人たちの“授業参観”もあるというこだわりぶりだ。

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 学校というスタイルは認知症高齢者の記憶を呼び覚まし、コミュニケーションを豊かにするという。「座ってばかりだった人が『起立』という掛け声に立ち上がったり、黒板に近い席に誘導したら『前の席はあんまりできん子が座るとこ』と周囲を笑わせたり、日本史では『昔は国史って言いよった』と教えていただいたり、どんどん反応が返ってきます」と山内さん。「施設を嫌がる人にも『学校で勉強しませんか』と誘いやすくなります」という。

 「介護されるだけの施設から、通うのが楽しくなる学舎(まなびや)にしたい」と同事業所を運営するピュア・サポートグループの小山敬子代表。六月には同グループの介護老人保健施設「博寿園」も「おとなの学校本校」に名称変更し、入所者に授業形式で学習療法などの機能訓練を提供する。(田川里美)

 (熊本日日新聞2006年5月16日付朝刊くらし面)
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