3大生活習慣病やこころ、こどもの病気など、最新治療法や先端医療の現状をお伝えします。
ホーム
>
読むクスリ
>
脳・神経一覧
>
・
肥後医育塾
・
笑顔ヘルCキャンペーン
・
メディカルネット
・
デリすぱホームドクターガイド
「グループホームで最期を」…施設の対応は
認知症高齢者が共同で暮らすグループホーム。入居中のお年寄りや家族が「ここで最期を迎えたい」「迎えさせたい」と希望した場合、その対応はグループホームで異なるのが現状だ。受け入れるには医療機関との連携などが課題になるほか、スタッフにも「みとる」ための覚悟が求められるようだ。
スタッフの声掛けに応じる寝たきりの女性。グループホームでも入居者の重度化が指摘されている=宇城市
宇城市のグループホーム郷(さと)で暮らす女性(95)は寝たきりになって1年半がたつ。原因は転倒による足の骨折。手術を勧めたが、やせ細った手でベッドにしがみつき「ここから追い出すんですか」と訴えた。
「子どもたちの家や病院を転々とし、やっとたどり着いたわが家。離れたくないのだろう。それに、手術しても歩けるようになるとは限らない」。そう思った緒方八重子代表は家族とも相談し、「みとりまでお願いしたい」という家族の希望を受け入れた。
女性は最近、食が進まず、1日にひと口、ふた口しか食べないこともある。「まだ医療でできることがあるのではないか」。30年近い看護師経験を持つ緒方代表は時々そう考える。一方で「認知症のお年寄りにとって、入院という環境の変化は大きな不安を与えるだけ」とも思う。みとると決めた今も、気持ちが揺れるという。
認知症高齢者のグループホームは介護保険サービスの一つ。5―9人のお年寄りがスタッフと一緒に買い物に行ったり食事の準備をしたりしながら暮らす。当初は介護の必要の少ない軽度のお年寄りがほとんどだったが、3月で制度化から丸6年となり、入居者の重度化が指摘されている。
「運営母体が病院や介護施設であれば、重度化した後の対応も取りやすいでしょうが、うちのような単独施設は往診してくれる医師の確保にも苦労する。みとりを断るホームもあるようです」と緒方代表。同ホームには看護師が2人いるが、制度では配置は義務付けられていない。ようやく4月から看護師の配置など医療連携体制を強化した場合の報酬加算が設けられる。
熊本市の牧まり子さん(51)は昨年2月、父親の淳(すなお)さんを同市のグループホーム「ふれあい」でみとった。「ホームでの父は、いつも穏やか。ここで最期を迎える方が父は幸せだと思った。それには私たち家族が協力することが前提です」
前年の6月、肺がんと分かった。次第に起きている時間が減り、食欲も落ちた。そんな淳さんの「今後」を考えるホームと家族の間のミーティングがその年の12月に開かれた。「病院で治療を受けてはどうか」というホームの提案に、まり子さんは「認知症で理解できない治療を嫌々受けながらこの世を去るより、ここで父をみとりたい」と要望した。
「『怖い』と泣き出すスタッフもいた。『私たちでいいんですか』とも言ってもらった。看護師でもない人たちをずいぶん苦しませたと思います」とまり子さん。「ただ、ホームにすべて押しつけようと思ったのではない。『一緒に』という気持ちがなければ、無理を言えなかった」と振り返る。
同ホームの前川春美ホーム長は「死も含めて『その人らしい生き方』を支援したい。ただ、スタッフだけでなく家族と一緒に支えるのが理想。私たちは、そのための関係づくりを日ごろから築いていく必要がある」と話す。
(熊本日日新聞2006年2月14日付朝刊くらし面)
※ この記事へのご意見、ご感想をお寄せください。
あて先は
iryou@kumanichi.co.jp
無断転載は禁じます。
掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun
(c) 熊本日日新聞社 〒860-8506 熊本市世安町172