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ハチ刺され後のアレルギー 自己注射が使用可能に
 ハチ刺されや食物などが原因で全身に激しいアレルギー反応が起こる「アナフィラキシー」。治療に手間取ると死亡しかねない。治療は急降下した血圧を上げるため、まず「エピネフリン」を投与するが、その皮下注射セットが国内でも発売された。

 注射器は直径一・七センチ、長さ一四・五センチの筒状。エピネフリンを二・〇ミリグラム含んでいる。安全キャップを外し、太ももに直角に突き刺すと、中から針が出てきて、一回〇・三ミリグラムのエピネフリンを注射できる。独系製薬会社「メルク社」(東京都目黒区)が厚生労働省の輸入承認を得て、処方医師として登録した医師に売っている。処方は今のところ、ハチ刺されに限定され、医療保険の適用外。

 熊本県の登録医の一人、浦田医院(玉名市)の浦田誓夫院長(元帝京大第二内科助教授)によると、ハチ刺されによる国内の死亡者は毎年約三十人。蜂毒を持つのは、主にスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなどで、蜂毒の中には多種類のアレルゲンと毒が含まれている。このためハチの巣の下などで多数のハチに刺された場合は、アレルギー体質でない人も、アナフィラキシーに似た症状が起こりうる。

 「エピネフリン」は、これまで山仕事などでハチ刺され事故に遭いやすい営林署の職員が、治験目的で使っていた。ミカンやイチゴなどを扱う果樹農家や養蜂(ようほう)業者などもハチ刺されの可能性が高く、最近は異常気象の影響で街中にハチの巣ができ、ハチ刺され事故も珍しくない。

 「ハチ刺されによるアナフィラキシー経験者や大量のハチに刺される可能性が高い仕事をしている人は、皮下注射セットは命を守るのに欠かせない」と浦田院長。「ただ自己注射は症状を一時的に緩和させるだけで解毒剤ではない。注射後は、直ちに専門医を受診してほしい」と指摘する。

 一方、食物アレルギーでは、厚生労働省が原因食品として卵、牛乳、小麦、ソバ、ピーナツを原料とする加工食品に表示を義務付けている。これらの食物でアナフィラキシーになった際も、エピネフリンの早期投与が必要だ。浦田院長によると、例えば、運動中に小麦含有菓子などを食べてアナフィラキシーになる人もおり、食物依存性運動誘発アナフィラキシーと呼ばれている。

 メルク社は、食物アレルギーへの適用拡大を承認申請中だが、承認時期は不明という。今回の承認に際しても、患者を十分に指導できる医師を処方登録医とするよう条件を付けている。処方登録医の照会はメルクくすり相談室(電)0120―933―911。

  (熊本日日新聞2003年9月17日付「夕刊メディカル」)
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