くまにち.コム  
3大生活習慣病やこころ、こどもの病気など、最新治療法や先端医療の現状をお伝えします。  
   
ホーム > 読むクスリ > こころ一覧 >   
読むクスリ
メール健康相談
休日在宅医 お役立ちリンク
お知らせ
フリーワード検索

     
肥後医育塾
笑顔ヘルCキャンペーン
メディカルネット
デリすぱホームドクターガイド



うつ病は「心の肺炎」 誘因に対する精神療法必要
 うつ病は、WHO(世界保健機構)が14歳〜44歳までの人の社会活動障害のトップに挙げている。国内では1998年以降、5年連続で自殺者が3万人を超え、その多くはうつ病が原因という。

 「うつ病は“心の風邪”といわれ、比較的治りやすい病気とされているが、実際は、そう軽い病気ではない。治るが、再発しやすく、自殺者もでる。風邪より重い『心の肺炎』でしょう」。

 15日、福岡市で開かれたJCPTD(日本うつ病予防・治療委員会)主催の公開講座で、産業医科大(北九州市)の中村純教授(精神医学)は、そう指摘した。重度のうつ病では10人中8人が死亡している。

 中村教授は「誘因のないうつ病はほとんどない。治療では、薬物療法とともに誘因となったライフイベントに対する精神療法が必要だ」と強調する。

 藤田保健衛生大(愛知県豊明市)の尾崎紀夫教授(精神医学)の研究では、うつ病は興味や喜びが喪失するため、90%は判定できる。心のエネルギーの低下、不安感・焦燥感、抑うつ、おっくう感(内的抑制)が特徴だ。特に、おっくう感は初期症状として出やすいとされる。

 一方、うつ病患者が最初に受診する診療科のトップは内科。次いで精神科、その次が皮膚科。以前ほどないにしても、精神科や心療内科に対する“敷居”は依然高い。このため、うつ病診療にかかわる各分野の専門医らが、日本うつ病学会を設立した。

 JCPTD委員の一人で同学会理事長に就任した昭和大(東京都品川区)の上島国夫教授(精神医学)は「学際的な研究を一層進めるとともに、患者や家族、一般市民に積極的に情報提供したい」と意気込む。

 最近、英、仏、独など欧州六カ国が実施した調査では、うつ病の有病率は8・7%、抑うつ症状者は8・3%だった。日本人の有病率はこれより低いとみられるが、公的なデータはない。うつは身体症状も伴うため、一般の開業医が的確に診断、治療するのは容易ではないとされる。薬物療法に偏り、次々に薬を代えていく非専門医もいる。

 「うつになったら、まず自分の生き方を疑ってみる。高望みしない、何が起こっても条件を付けず、『生まれてきて良かった、それ以上でなくていい』と自分を無条件に肯定する。弱さを素直に認めることはポジティブシンキング(積極思考)なんです」。パニック障害や過換気症候群を併発した、うつ病に10年余り苦しんだ女優の高木美保さんは、公開講座で実体験を交えながら、そう助言した。薬物治療と並んで、ライフスタイルの転換が必要というわけだ。

 (熊本日日新聞2003年11月26日付夕刊)

※ この記事へのご意見、ご感想をお寄せください。あて先は iryou@kumanichi.co.jp
 
  無断転載は禁じます。
掲載の記事、写真等の著作権は熊本日日新聞社または、各情報提供者にあります。
Copyright Kumamoto Nichinichi Shimbun
  (c) 熊本日日新聞社 〒860-8506 熊本市世安町172