水俣病「原点の地」…百間排水口樋門を新調へ 県、補正予算案に1100万円計上 24年度末までに設置終了へ 

熊本日日新聞 2024年6月7日 16:30
百間排水口の老朽化した樋門をクレーン車で取り外す作業員ら=2023年8月、水俣市
百間排水口の老朽化した樋門をクレーン車で取り外す作業員ら=2023年8月、水俣市

 水俣病の原因企業チッソがメチル水銀を含む排水を垂れ流していた百間[ひゃっけん]排水口に関し、県は新しい樋門を新調して取り付ける。関連費用として1100万円を、2024年度一般会計補正予算案に盛り込んだ。

 水俣病の「原点の地」とも言われる、水俣市汐見町4基の樋門(縦2・95メートル、横2・4メートル、重さ約1トン)は木製で、老朽化のため内部が腐食していた。

 市が昨年6月に撤去しようとしたが、患者団体などが反発。県が「水俣病の歴史と教訓を伝えるのは重要」(蒲島郁夫前知事)と理解を示して仲介に入り、管理も市から引き継いだ。県は、修繕費が高額になることや過去にも取り換えた経緯を考慮し、同じサイズの木製の樋門を新調することで団体側と合意した。

 新調する4基は24年度末までに設置を終える予定。来訪者が拡張現実(AR)技術を使い、排水を流していた当時の雰囲気を疑似体験できる取り組みも実施する。現地の案内板にあるQRコードを読み込み、映像を見るイメージだという。

 取り外しを終えた古い樋門は県環境センターに保管中。保存するか処分するかは、今後詰める。

 水俣病の教訓を後世に継承していく水俣市の取り組みも支援。市立水俣病資料館で放映する語り部インタビューの映像制作と、資料館ホームページの多言語化に対する補助費として、補正予算案に合わせて500万円を計上した。(小山智史)

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