輪島塗、職人の卵が門出　研修所被災、金沢で卒業式

　輪島塗などの漆芸職人を養成する石川県立輪島漆芸技術研修所の卒業式が７日、金沢市内の施設で開かれ、卒業生１４人が門出を迎えた。輪島市にある研修所は能登半島地震で被災し、研修生や職員の多くが住まいを失った。卒業生代表の日野勇輝さん（３４）はあいさつで、地震の経験に触れ「感謝の気持ちを持ってそれぞれの道に進みたい」と抱負を述べた。

　輪島市内で輪島塗工房を営む両親の影響で、職人の道を志した日野さん。地震で、実家の工房は朝市周辺の火災に巻き込まれて全焼した。

　「たくさんの人に支えられ」ながら卒業制作に取り組み、能登の貝をモチーフにした作品を完成させた。当面は、避難先の小松市を拠点に活動する予定だが、「輪島に必ず戻りたい」と語った。

　研修所の小森邦博所長は「地震で得た教訓は役に立つ。それぞれの道で充実した人生を送ってほしい」と激励の言葉を贈った。

　研修所は、未経験者が対象の特別研修課程２年と、専門分野を学ぶ普通研修課程３年で構成。地震で休校を余儀なくされ、卒業制作には金沢市内の大学施設などを借りた。