熊本市電初「3両編成」年内にも導入 市交通局、10年ぶりの新型車両 輸送量は1.5倍、車いすスペースも【市電100年】

熊本日日新聞 2024年5月2日 23:00
熊本市交通局が年内にも導入する3両編成の新車両の外観イメージ(市交通局提供)
熊本市交通局が年内にも導入する3両編成の新車両の外観イメージ(市交通局提供)

 熊本市電として初となる3両編成の新型車両が、年内にも導入される。8月に開業100年を迎える市電の目玉事業で、熊本市交通局が新型車両を導入するのは超低床電車「COCORO」以来10年ぶり。輸送力の強化と、誰もが利用しやすい市電の実現に向けて大きな弾みとなりそうだ。

 「乗客の積み残しは大きな課題。新車両の導入で輸送力はかなり増す。期待してほしい」。4月24日の定例会見で、大西一史市長はそう強調した。

 朝夕のラッシュ時に発生する積み残しは長年の課題。老朽化した車両を中心にバリアフリー対応の拡充も迫られており、新型車両の導入が求められていた。

 市交通局によると、計2編成導入する新型車両は全長21メートル。2両編成のCOCOROよりも約3メートル長く、定員112人。現行車両と比べ、平均1・5倍の乗客を乗せることができる。車いすやベビーカーの専用スペースを設けられることも大きな特長だ。

 現在、市が保有する54両の平均車齢は44年。このうち24両は製造から50年以上経過し、最も古い車両は72年前に製造された車両だ。走行中にドアが開くなど、老朽化も原因と考えられる不具合が相次いでいる。このため、2021年にまとめた経営計画で、複数車両編成による車両の更新を目標として掲げていた。

新車両の内装イメージ。車いすやベビーカーの専用スペースを設ける(熊本市交通局提供)
新車両の内装イメージ。車いすやベビーカーの専用スペースを設ける(熊本市交通局提供)

 導入費用は1編成約4億5千万円。24年度の2編成に加え、25年度もさらに2編成を導入。本年度当初予算は8億9100万円を計上した。30年度までに計12編成を導入する計画だ。26年度以降、導入する車両の種類と時期については、本年度中に詰める。

 3両編成の導入に合わせて、電停の改良も進める。昨年度は「段山町」「本妙寺入口」「県立体育館前」の3カ所で乗り場の延長工事を実施。乗客の安全確保を進める。延長のための用地が確保できない乗り場については、停車位置の調整や、乗降のため開くドアを一部に限ることで、長くなる車両に対応する。

 新車両を製造するのは、鹿児島市交通局の路面電車なども手がけた大阪のメーカー。熊本市電の新車両の外観は、白と黒のモノトーンで、熊本城をイメージした。全ての席が窓ガラスを背にするロングシートとなる予定だ。

 本年度以降、積み残しと老朽化対策を加速させる市交通局。「新車両は、さまざまな人が快適に乗車できる車両になる。積み残し改善のため、運用面での工夫もしっかり考えたい」としている。(九重陽平)

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