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警察官の寄り添い「救われた」 熊本市女児殺害から13年 娘亡くした清水さん 【くまもと発司法の現在地 変わる被害者支援①】

熊本日日新聞 2024年3月27日 18:00
殺人事件で長女の心ちゃんを失った当時の支援について語る清水誠一郎さん=熊本市中央区
殺人事件で長女の心ちゃんを失った当時の支援について語る清水誠一郎さん=熊本市中央区

 「娘を守れなかった。家族で命を絶つことも考えたが、警察官に寄り添ってもらい救われた」。2011年に熊本市で清水心[ここ]ちゃん=当時(3)=が殺害された事件から13年。父親の清水誠一郎さん(53)=同市北区=は、犯罪被害者遺族として各地で講演するたびに「あの時の支えがあって今がある」と語る。

 11年3月3日夜。心ちゃんは家族と一緒に行ったスーパーで行方が分からなくなった。翌日、近くの水路で遺体が見つかった。

 その日の夕方、心ちゃんが安置された警察署へ行く清水さんを、熊本県警犯罪被害者支援室の男性警察官が迎えに来た。「娘を失ったショックと無念さでいっぱいだった」と清水さん。記憶はおぼろげだが、捜査に協力を求める警察官の丁寧な口調が耳に残っている。

 その後ほとんど家から出なくなった清水さんにとって、支援室の警察官は家族以外で言葉を交わす数少ない存在となった。捜査に関する話、マスコミ対応や子どもたちの精神面のケアについて相談。親戚宅に身を寄せた子どもに着替えを届けてもらうこともあった。

 事件から1カ月たったある日。清水さんは担当の男性警察官に電話をかけた。ネットで誹謗[ひぼう]中傷を浴び、心ちゃんを失った責任が自分にあると考えていた頃。「全てを終わらせてしまいたい」と遺言のつもりで告げた。しかし、話を聞いてもらううちに気持ちが落ち着き、思いとどまることができた。「警察官の存在がなければ、自分は今ここにいなかったかもしれない」

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