不妊治療やチャイルドシート補助 都市部は保育環境拡充 多様化する子育て支援ニーズ 熊本県内でも〝市町村間競争時代〟に
多様化する子育て世帯のニーズに対応すべく、熊本県内の各市町村ともさまざまな支援策を工夫している。さながら、子育て支援策の〝市町村間競争時代〟とも言える状況だ。
2016年度に比べ、21年度決算の児童福祉費の伸びが熊本県内で最も高かった水上村。不妊治療費は1回につき上限30万円を、治療に伴う交通費も最大1万5千円補助する手厚さだ。チャイルドシートを購入する際には費用の半額を支給。小中学生がいる家庭の通信費の一部も助成するなど、県内の他市町村では見られない事業も目立つ。
湯前町も21年度までの5年の間に自主財源で子育て支援事業を拡充した。町単独事業に限れば、児童福祉費の伸びは県内で飛び抜けている。子どもが生まれれば1人につき15万円を給付。小学校入学時には1万円、中学入学時には2万円をそれぞれ支給している。21年4月には、小中学生の修学旅行費の一部を補助する制度も導入した。
一方、都市圏では若年人口の増加もあって児童福祉費が増加傾向にある。
熊本市は、中学3年生までを対象としている子ども医療費の助成を、今年12月から高校3年生まで拡大する方針だ。これにより、保護者が負担する診療費は高校生でも1医療機関当たり月額1200円までとなる。入院代や薬代も高3まで無料化。子育て世帯の医療費負担が一層軽減される。
九州4紙で3月に実施したアンケートで、熊本県内の子育て支援「先進地」として多くの人が名前を挙げた合志市。育休明けの職場復帰や共働きの需要が高まっている状況を受け、私立保育園の新設補助や放課後児童クラブの増設に力を入れる。医療費は今年1月に高校生まで全て無償化した。
台湾積体電路製造(TSMC)の新工場建設で若年人口の増加が予想される菊陽町は、23年度当初予算で新たに約700万円を計上。保育園が配置基準を超える保育士を新規雇用する場合、人件費の一部を補助する制度を設けた。保育士を多めに確保しておくことで、年度途中での園児増にも対応できるようにする。保育環境の充実で、子育て世帯の受け入れ態勢拡充を目指す。(田中慎太朗)
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